読書ノートから 16

    赤毛のアン

        岸田衿子 安野光雅


 

   


 プリンス・エドワード島は、せかいじゅうでいちばん

 きれいなところだってきいてたし、そこにすんでることを

 よく想像したけれど、これがほんとうのことになるなんて、

 夢にも思わなかった。




 『赤毛のアン』をはじめて読んだのは 中学生の時。

 みずみずしい感動と幸せな気持ちでいっぱいになりました。

 それからは忘れたころに(10年に一度くらい)再会。

 やっぱりこの小説は最高!と思ってました。


 私がワンピースが好きなのも パウンドケーキを焼くのも

 この小説のせい。

 夢見ることのすばらしさ、夢見ることの危うさ

 それが人間の姿であり 文学の本質だと思う。


 これからも『赤毛のアン』はいつもそばにいる、と思う。

 

 

 

 

読書ノートから 15

 京をあつめて

        丹所 千佳


 ・・・小粋なベレー、妖精みたいなポンポン帽、シックなダリアが

 ついているもの、微妙な色合いのファーが添えられているもの、

 あれもこれもと目移りします。ブランドの名前は「イマージュレール」

 とは想像上の現実という意味の造語だそう


 ・・・栗がごろっと入った断面にまず惚れぼれ。これがちょっと驚く

 くらいにおいしくて、普通の栗蒸し羊羹がお薄なら、これは濃茶。

 車屋町姉小路の和菓子屋さん。



 おいしいとkawaiiがたっぷりつまった、京都の四季が美しいエッセイ。

 京都生まれ、京都育ちで編集の仕事を通して季節の美しさ、京都の

 良さを発見していく。今の京を今の自分を楽しんでるのが気持ちよい。


  いつか死ぬ必ず春が来るように


             池田澄子『拝復』




  

 

読書ノートから 14

  プーと私

    石井 桃子


 ・・・その夜、そこには、小さなクリスマス・トリーが飾られていて、

 その下に、あまり新しくない朱色のジャケットのかかった本が一冊

 おいてあった。

 
 石井桃子さんは プーとの出会いをそんなふうに書き出していました。


 「もうじき死んだら、三途の川原で石をつんでいる、かわいそうな

  こどもたちを相手に幼稚園を開こう。日本語になってないと上手に

  話してやれないではないか」

  そんな友人のおくり物としてプーは何度も推敲されて本になっていた

  のでした。



  1950年代のアメリカやイギリス、オランダの子供の図書館

  をめぐる旅はなんと冒険にとみ、楽しく有意義なものだったろう。

  そこでは子供に喜びを与える仕事、子供を信頼する人たちとの

  出会いでした。つぎに出る絵本「生命の話」の絵を次々に

  見せながら説明してくれたのはバージニア・リー・バートン。

  アメリ児童図書館員の草分け的存在のミス・モーアさん。




  A,A.ミルンの「くまのプーさん」や「ピーターラビットの絵本」

 そして石井桃子さんのエッセイに出会えたことが本当にうれしい。