読書ノートから 13


 翻訳ってなんだろう?

      鴻巣 友季子


 
 本は読むだけなく考える事が大切、とはよく言われること。

 一つの言葉、一つのセンテンスをこんなにも様々な思いを

 めぐらせて訳すのか・・・というのがこの本を読んだ感想です。



 サリンジャーライ麦畑でつかまえて』の部分では

 ・・・ホールデンが自己紹介をするくだりの YOU の訳し方について

 アンネ・フランクの「キティー」のような存在

 自分を受け入れてくれる存在



 ヴァージニア・ウルフ灯台へ

 様々な視点が 毛糸のソックスの色を表す。

 赤茶色の靴下、ヘザー色の混紡の靴下、ぼんやりした赤茶色の塊、



 エミリー・ブロンテ嵐が丘

 純愛小説かとおもいきや、人称代名詞を変えることで

 見えてくる「不動産小説」


 他にも『赤毛のアン』『風とともに去りぬ』など名作を鋭く

 捌いていてとても興味深い一冊でした。



 


 
 

 

絵本ノートから 113

 いちばん美しいクモの巣

     アーシュラ・k・ル・グウィン



 ・・・リーゼは 歌をうたう人がじぶんののどから声をはき出すように

  じぶんのからだから じぶんの糸をはきだしつづけました。


 本の題名は LEESE WEBSTER


クモの女の子リーゼは オリジナルの自分だけの巣をつくることに

 日々悩み続けます。人間にほめられても満足できません。

 しかし とうとう美しいクモの巣を作ることができたのです。

 

 バラの花 朝露 朝日 朝食のハエ



 

読書ノートから 12


 断片的なものの社会学

        岸 政彦

 

 次頁には何が出てくるのか、どんな人の話が聞けるのか全く予想できなくて

 あっという間に完読。

 著者は、分析できない、無意味なものに美しさを感じるという。

 
 ・・・自分がこの自分に生まれてしまったということは、何の罪でも、

 誰のせいでもない。それはただの偶然である。



  無意味というがそれは、意味を知っているからではないか?とも思うが、

 現実の社会は様々で混沌としていて やっぱり無意味なもので

 あふれている。

 

 

 社会学者として こんなふうに言っている。

 ・・・異なる存在とともに生きることの、そのままの価値を素朴に

 肯定することが、どうしても必要な状況なのである。