読書ノートから 13


 翻訳ってなんだろう?

      鴻巣 友季子


 
 本は読むだけなく考える事が大切、とはよく言われること。

 一つの言葉、一つのセンテンスをこんなにも様々な思いを

 めぐらせて訳すのか・・・というのがこの本を読んだ感想です。



 サリンジャーライ麦畑でつかまえて』の部分では

 ・・・ホールデンが自己紹介をするくだりの YOU の訳し方について

 アンネ・フランクの「キティー」のような存在

 自分を受け入れてくれる存在



 ヴァージニア・ウルフ灯台へ

 様々な視点が 毛糸のソックスの色を表す。

 赤茶色の靴下、ヘザー色の混紡の靴下、ぼんやりした赤茶色の塊、



 エミリー・ブロンテ嵐が丘

 純愛小説かとおもいきや、人称代名詞を変えることで

 見えてくる「不動産小説」


 他にも『赤毛のアン』『風とともに去りぬ』など名作を鋭く

 捌いていてとても興味深い一冊でした。