読書ノートから 8

  

 通勤電車でよむ詩集

       小池 昌代[編著]



  ぼくの娘に聞かせる小さい物語

 娘よ、なくのはおよし、悲しみがふくれるだけだから、

 もどるものなら、ひとりでに、大事なものは戻ってくる。

・・・

 午後の電車の部分に書かれているウンベルト・サバの詩

 大人も大変だな〜と気づいたのはいつだったかな。

 8歳 5歳 3歳かも。

 父が娘に言って聞かせる逃がしてしまったツグミの話。

 ふいに父のこと 思い出した。物語の中では私はいつも娘だった。




  記憶

    小池昌代
  
    オーバーをぬいで壁にかけた

    十年以上前に錦糸町で買ったものだ

 
 ・・・知らなかった

    ひとは

    こんなふに孤独を

    こんなふに年月を

    ぬぐことがあるのか


 この詩集の編者でもある小池昌代さんの詩

 冬の朝晩はこのコートを着て通勤。

 電車の中でよく詩をよんだ、ありました。


 詩は自分との接点が見つかるまで 何度も読み返すのがいい。

 味わうというか 思い出すというか


 全部で41のさまざまな詩が読めます。

 心の奥の たとえば孤独だったり 肉親の別れの話だったりしても

 どれも人生の応援歌だと思える。

 詩って そういうものだと思う。