妻への旅路


 1970年代の文化大革命をはさんで 20年ぶりに再会する

 家族の再生の物語。妻は病で記憶を失い 夫を認識できない。

 才能ある娘はバレーをやめている。インテリの夫は長い労働でやはり

 傷ついている。他にも方法はあっただろうが 三人が妻の病気につまり

 過去の記憶に寄り添っていく。

 チャン・イーモウ監督といえば『初恋のきた道

 先生への思いを中国料理へ託したが この映画は妻への手紙。

 ガラス窓から 妻をみつめるシーンは チャップリンの『街の灯』だ。

 
 激しい雨や しんしんと雪のふる映画だ。

 しかし家の中のストーブは温かそうだしピアノの存在感も

 格別だ。みなが やさしい心なのに何かが足りない。

 現実とは そういうものかもしれない。

 ラストは 意外だった。しかしぜんぜん暗くない。

 やっぱり 人と人とのつながりが テーマだからかもしれない。

 映画館では ほぼ全員泣いていた。

 秀作である。